こどもの矯正
こどもの矯正

小児期は成長発達に個人差が大変大きく、実年齢、精神年齢が一致しない子どもも多くみられます。実際に噛み合わせや歯並びのトラブルがおき始めていても、それを予防、治療するためには、個人の精神発達と成育環境が整わないといけません。
当院の小児矯正治療は、小児歯科の専門領域で古くから行われてきた「咬合誘導」という考え方と治療法をベースとし、器具や装置をアップデートしながら治療を行っています。
「咬合誘導」とは小児のむし歯の予防や早期治療をし、噛み合わせや生え変わりを正しく導きお口を育てる口腔育成治療のことです。口の中だけでなく、小児の心身の発達発育の知識や、正常か異常かの鑑別診断など非常に高い専門性を要求される分野です。当院の小児矯正は長年にわたり小児歯科の専門医として症例を積み上げてきた歯科医師が行います。個々人の問題点を適切に判断し、治療の提案をしています。
矯正治療は大人になってからでも可能ですが、混合歯列の時期から始めることで、永久歯に生え変わってからでは得られないたくさんのメリットが得られます。その理由は、大人は顎骨(がっこつ)の成長が終わっているため歯を動かすだけの矯正になりますが、子どもの場合、成長段階にあるため、顎(あご)の成長をコントロールしながら矯正を行うことができるからです。たとえば「出っ歯」であれば、下顎を前に成長させたり、もしくは上顎の成長を抑制したりすることができます。「受け口」であれば下顎の成長を抑制したり、上顎の成長を促進させたりすることが可能です。治療に成長が利用できると歯が生えるスペースがコントロールでき、抜歯をせずに矯正ができる可能性が高くなります。これが最大のメリットといえます。
当院の小児矯正は乳歯と永久歯が混在する混合歯列期からから始める場合がほとんどです。
主に6歳から12歳までの子どもの時期に行います。上下の前歯が4本ずつ生えて、第一大臼歯という奥歯が生えてきた時点で歯列不正があれば、90%以上の方が将来の歯並びに問題が起こります。その時期に検査をして歯並びが悪くなっている原因を分析し、将来予測を行い治療法を提案していきます。
近年の傾向としては、
①呼吸や姿勢の乱れや崩れ、悪習癖などの環境的要因による歯ならびの乱れ、
②顎骨の中の永久歯の場所の異常による歯並びの異常が増加しています。
①は2010年ころから増え始めたため、筋機能訓練を当院ではいち早く取り組み成果を上げています。②は2022年ころから異常の頻度が急増し、難症例が増え、外科的治療も併用せざるを得ない状況にあります。それぞれに小児を取り巻く社会環境が大きく変化した時期と重なっているためと考え注視しています。また当院では小児口腔外科も外来で対応できます。顎骨に埋まって歯並びの妨げになる過剰歯の抜歯や、異常な場所にある永久歯の開窓、けん引、萌出誘導なども数多く行っております。保護者や患児自身が希望されれば、全身麻酔での治療が対応できる大学や総合病院、口腔外科専門病院への紹介なども可能です。
顎の発達も視野に入れて土台からしっかり整えることで、永久歯が生えそろう12歳頃を境目として治療終了するか、その後、永久歯が生え揃ってから最終調整するか、状況に応じた対応をしています。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎の前歯が前に傾斜していたり、突き出ていたりする状態で、一般的に「出っ歯」と呼ばれています

下顎前突(かがくぜんとつ))
下顎が上顎よりも前に突き出ている状態で、横顔がしゃくれたように見えます。かみ合わせが反対になるので「反対咬合」、あるいは「受け口」とも呼ばれています。

叢生(そうせい)(乱ぐい歯・八重歯)
歯並びがでこぼこな乱ぐい歯、犬歯が前に突き出た八重歯などをいいます。顎が小さいと歯が生える十分なスペースがないため、歯と歯が重なり合って、叢生が生じると考えられています。

・開咬(かいこう)
口を閉じてもすき間ができ、上下の歯がきちんとかみ合わない状態です。前歯で食べ物をうまく噛み切ることができないだけでなく、正しく発音ができなかったり、咀嚼(そしゃく)がうまくできなかったりすることもあります。

過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に深く被ってしまっている状態です。このため顔が短く見えることがあります。上下の歯が過剰に接触し、歯を傷つけてしまうこともあります。

交叉咬合(こうさこうごう)
部分的に上下の歯のかみ合わせが反対になっている状態です。顎の関節に悪影響を及ぼし、顎関節症を引き起こすこともあります。
歯並びやかみ合わせが悪くなる原因として、指しゃぶり、口呼吸、舌の癖、頬杖などの習慣(癖)が関与していることがあります。お子さんが4歳くらいになったら、以下の項目をチェックしてみてください。もし当てはまるものがあれば、小児矯正を検討したほうが良い可能性があります。
大人になってからの矯正治療では、歯をきれいに並べるスペースを確保するために抜歯が必要となるケースが多くあります。小児矯正では、顎の筋肉や骨格の成長をある程度コントロールできるため、抜歯をせずに矯正治療ができる可能性が高くなります。
上下の顎の成長をコントロールすることで、本来あるべき理想的な位置に歯を誘導することができます。結果として、上下の顎のバランスや歯並びが整い、見た目もより良くなります。お子さんの歯に関するコンプレックスも解消します。
成長段階にある子どものうちは、骨が軟らかく、大人と比較して歯がスムーズに動きます。そのため、歯が動く際の痛みも出現しにくくなります。
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい部位ができやすく、そこに食べかすなどの汚れがたまり、むし歯や歯肉炎のリスクを高めてしまいます。歯並びを整えることで、歯みがきがしやすくなるうえ、お口の自浄作用が働きやすくなり口内の病気の予防につながります。
一番のデメリットは治療が長期になることです。「受け口」であれば早いお子さんで4、5歳からの開始になります。その場合、治療がすむまで10年程度かかる可能性もあります。治療が長期になると、その分、毎月の矯正処置料などもかかってきます。
装着する矯正装置によっては食べ物が装置のすき間に挟まりやすくなり、むし歯のリスクが高まることがあります。ただし、毎月通院していただくことになりますので、その際にフッ素塗布やむし歯のチェック、歯ブラシの指導なども行います。それによってむし歯になりにくくもなります。
小児矯正では、歯並びや顎の成長に悪影響を与える癖や姿勢、食習慣などの改善も行います。また、口周囲の筋肉の訓練を行うことで、筋肉や骨格の健全な発育を促します。この筋機能の訓練は、矯正治療が終わった後の「後戻り」を防ぐ効果も期待できます。
歯並び、かみ合わせ、骨格の状態を細かくチェックし、お子さんに合わせた装置を用いて矯正治療を行います。当院の小児矯正の矯正装置には、大きく分けて「可撤式矯正装置(取り外し式装置)」、「固定式矯正装置」があります。
床拡大装置(床矯正装置)
総入れ歯のような床(しょう:顎に密着する部分)を固定源にして、少しずつ歯を動かしたり顎を拡大したりすることで、歯並びやかみ合わせを整えていきます。装置中央にあるネジを回すことによって顎の横幅が広がります。歯の生え変わりの時期は、土台の顎の骨を拡大しやすく、将来の歯のでこぼこも予防できる可能性が高い装置です。
筋機能訓練装置(プレオルソ)
小児期に口腔内外の環境を整え、永久歯の抜歯や治療後の後戻りを防止する役割。違う種類の装置と併用で使用することで、効果を増大することが出来ます。
マウスピース矯正(インビザライン)
取り外し可能、透明なマウスピースを使用し歯並びを整える矯正治療法。小児に用いるのはインビザラインファーストと呼ばれる装置で18か月間限定の使用になります。
固定式矯正装置は、お子さんの意思にかかわらず常に装着されていますので、可撤式矯正装置(取り外し式矯正装置)と比べて効果が出やすい特徴があります。
クワドヘリックス
歯列の横幅を広げる装置で、可撤式矯正装置の床拡大装置と役割は同じです。